A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

ルーム ROOM

みた

部屋を出る話というのは知ってたのだけど
まさにその瞬間の盛り上がりはすごい。
特に勘のいい婦警さん本当にありがとうという感じ。
後半はどうやってオチをつけるのかと気になるままになだらかに終わってゆくのだがそれはそれで味わい深い。

物語は多重の階層を持っており、子宮、クローゼット、部屋、病室、親の実家、自分自身、いろいろな部屋から出て成長してゆく話だ。
どこに行ったって何か閉ざされた空間なのだけどそこからいったん抜け出ることができたときの、元の居場所はこんなに小さかったのかという思い、その描写は見事。

雪のまだ解けやらぬ春の初め、私がちょうど6歳から7歳に変わる頃、腎臓の病気で入院をした。絶対安静で外に出ることなんてまったくできなかったのだが、ある日検尿で病院の便所に行ったとき、小窓から見えた病院の裏の庭にはタンポポの花が一面に咲き乱れており、ここから早く出たいと思ったことを思い出した。その後退院して帰ってきた家は改築が終わっており、自分の遊んだ庭はなくなっていた。
高校卒業して初めて実家を離れ仙台に住んだ。東京に出た友人は、東京はすごいぞと言っていたがそのときはまだ認められず、対抗心から田舎もん丸出しだと馬鹿にしたりしてた。
青森の実家に帰ってみて、やはりここは田舎なのだなあと思ったし、社会人になって東京に出たあとに訪れた仙台もこじんまりとした姿に愕然とした。この感覚。思い出の場所が寂れてゆく感覚。新しい世界へ出てゆくときの感覚。帰りたい場所に帰ってみたが、期待はずれになる感覚。こんなものがどんどん押し寄せてきて、最後に劇場の暗い部屋から出る瞬間、とても身の引き締まる思いであった。
そしてぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られて狭い賃貸マンションの部屋に帰ってきたところだ。

謎の真相、犯人の目的、あの子は一体誰の子なのか、父母の間には何があったのか、そういうことを一切説明しないところが好みが分かれそうだが、演出上のお膳立てなその設定部分の説明をしなかったのは個人的にはとてもよかった。

ただ最後のBGMはちょっとボリューム上げすぎだったな。

伝わりにくい個人的みどころ
  • 来年から本気出す(6歳になったら…)
  • (ジューシュ…)
  • 字幕にもならないバイルーム
  • とてもシェイマス感のある顔のいぬ