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A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

永井荷風「濹東綺譚」

出来事

読んだ。

墨東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)

墨東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)

iBooksで読んだので、木村荘八の挿絵がない版。

この前の日曜、
すみだストリートジャズフェスティバルというのをちらちらと見た。私がこの町に越してきた年から始まったお祭りだ。
その後川まで散歩したら区役所の前に提灯の明かりが並んでいる。
「隅田川おどり納涼大会」。いわゆる盆踊りだ。
地元ではやはりねぶた祭りの存在が大きく、わたしの町内ではあまり盛んじゃなかったんだよね。隣の町内ではやってたみたいだけれど。
東京の下町は油断するとすぐどこかしこでお祭りやってるイメージある。しかしこんなお祭りをやってるのは知らなかった。わりと規模も大きい。

濹東綺譚の一節によると

東京では江戸のむかし山の手の屋敷町に限って、田舎から出てきた奉公人が盆踊りをする事を許されていたが、町民一般は氏神の祭礼に狂奔するばかりで盆に踊る習慣はなかったのである。

盆踊りは風紀を乱すものだと度々禁止令が出されていたものらしい。
いまでいう風営法の深夜のダンス営業禁止みたいなものだ。

「もし現代の風俗を矯正しようと思うなら、交通を不便にして明治時代のようにすればいいのだと思います。そうでなければ夜半過ぎてからの円タクの賃銭をグット高くすればいいでしょう。ところが夜おそくなればなるほど、円タクは昼間の半分よりも安くなるのですからね。」

などという台詞も出てくる。円タクとは関東大震災の後登場した1円タクシーのこと。いまはタクシー深夜料金とってるけどどうなんだろうね。結局明治時代のようにしないとダメなのかしら。

と、まあこんな風にこのお話しには昭和初期の東京下町の様子がいろいろ書かれていて興味深い。
ちょうど銀座の地下鉄工事中である様子とかなんだか感慨深い。
私がこの町に来た頃にはスカイツリーなんかまだ建造途中だったことなど思い出しながら。

また、

わたくしは銀座に立てられた朱骨のぼんぼりと、赤坂溜池の牛肉屋の欄干が朱で塗られているのを目にして、都人の趣味のいかに低迷し来(きた)ったかを知った。

当時「昔はよかった。。。」と懐古してる。いつの時代も変わらないものだ。


「下町へいらっしゃい 浅草すみだめぐり」(竹ノ内ひとみ)というコミックエッセイの中の表現が非常にしっくり来る。

『墨東忌憚』っていまでいうと風俗ライターの書いたブログですよね

玉の井と呼ばれる墨東地域の私娼に通う小説家のお話しだからね。最後の方なんか全然ストーリーと関係ない日記みたいになっちゃってるし。