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A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

松崎有理「あがり」

読んだ

あがり (創元SF文庫)

あがり (創元SF文庫)

人の名前以外に決してカタカナや横文字使わない徹底ぶり。かわりにひらがなを混ぜることで柔らかく。
伊坂幸太郎瀬名秀明という感じ。共通点は仙台、そして東北大。
終末のフール (集英社文庫)+パラサイト・イヴ (新潮文庫)

舞台となる「北の街」。実は私もその蛸足大学で六年間を過ごしている。
おまけに研究ではDNA的なものを扱ったりしていたので、それだけで冒頭作からアツい。

研究は前に進み、未知のものをみつけだす創造的行為だが、論文を書くことはうしろをふりかえって総括する行為だ。

そう、論文書くのすごく苦手だった。冒頭のアブストラクトで全部ネタバレしてる文章をあらためて本文で書くという行為そのものが嫌だった。だから研究を続けようなんてこれっぽっちも思わなかった。
でも、研究自体はそれなりに楽しかった気がする。対象については実はサッパリわからんのに近いのだけど、そのプロセスというかそういうのはなんとなく好きだった。

しかしその「北の街」に六年間も住んでいたにも関わらず、金もなく「ゆきわたり」なんて喫茶、一度も行ったことなかった。
そんなに住んでいたのにあの街のこと、何も知らない。本当に何をやっていたんだろう。
と、今になって思う。
研究の真似事みたいなことはしてたけど、それ以外はただなんとなく空気を吸っていたような気がする。

とても気にはなるのだけれど、なかなか帰れない場所。

この冬、帰省ついでに寄ってみようか。