A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

上田早夕里「魚舟・獣舟」

読んだ。

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟

表題作。短いのに濃い。だけど何か物足りない。
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)」を読まねばならぬのか。泳げないから海洋モノこわい。
なぜかFinal Fantasy Xを思い出しながら読んでた。

くさびらの道

「あの震災」があったせいか、このお話が妙にリアルに突き刺さる。
人間の好奇心をくすぐっておびき寄せる感じはアレだ。蟲の仕業...

饗応

脳内で和田誠の挿絵が再生される。

真朱の街

妖怪とバイオメディカルをうまく融合したね。
片輪車の話とか昔の人もなかなか怖い話考えたもんだ。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/48/SekienKatawaguruma.jpg

ブルーグラス

泳げないから海洋モノ怖いと言っているッ!
内容は怖い話じゃないけど。何かを保護するために失われる想い出ってのもなかなか切ないな。

小鳥の墓

この話のためだけにこの文庫買ってもいいと思う。
あまりに平和だと生きてる実感が薄れるのかな。「小奇麗だが生気に乏しい都市」はなんだかしっくり来る表現だ。
主人公は言ってみりゃサイコパスなんだが、大人になれない子供にも見える。
社会に適応することが大人になるってことのような気がする。彼はその社会を拒んだ。大人びた子供時代よりも随分生き生きとしている。
そこに共感を覚える自分に戦慄みたいなものが走るが、まあ人間とはそういう感情を持っている生き物なのだろう。
そんないろんなこと考えさせる内容をこの短いお話の中にさらっと書いてるあたりがすごい。

ちらり引用されているヘンリー・ダーガーも興味深い。

どの作品もどんよりとした悲しみに満ち溢れている。今にも降り出しそうなのになかなか降らないねっとりとした雨雲という感じ。