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A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

Four Seasons 3.25(円城塔)

Four Seasons 3.25

S-Fマガジン 2012年 04月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2012年 04月号 [雑誌]

芥川賞受賞後第1作のタイムトラベルもの。

内容に触れる。

民意が叶うというウルトラ・ユートピアな地方自治体。
三本の腕が出てきたりして「道化師の蝶」を既読なら「ああw」ってなる。

いわゆる「シュレディンガーの猫」のようなお話。記述することあるいは記述を観測することで事象が確定される。
「隙間理論」という自然法則の網を潜り抜けて過去も未来も書き換えられる。
正確には書き加えることができる。民意という量子統計力学的なポテンシャルの外に逸脱することはできない。
オントロジーとかLinked Dataの矢印の途中に無理やりオブジェクトを差し込むことで、大まかな骨格を維持したまま文脈を書き換えることができてしまう接木感覚。
ツイッターなんかでは一部の発言がちぎられ、切り取られ、おかしな形に広まることがある。
間に文脈をうまいことねじこめば、お話全体としてはまったく逆の内容になったりする。文章ってそんなにも危ういものなのだ。
さすがにこのお話のように文章書き換えたくらいで現実の時間の流れは捻じ曲がることはないけれど、逆に言うと小説ならそれができるということ。
というわけで、
この作品は二次創作の遊び方を提供してくれているのではないかと思う。
プロットはそのままに話を膨らますってやつだ。しかも「既に記述された文章を変えてはならない」という縛りルールが入る。
例えばこの「Four Seasons 3.25」の文章そのままへ隙間に創作文を差し込むことで新しいお話ができちゃうわけだ。
例は悪いが、タイトルを「Flour Seasonings 3.25kg」に書き換えてみたりとかそういうことだ(いや、もっとストーリー的に変えろよ)。
思い出すのはほら、教科書への落書きだ。暇つぶしにもってこいだね。

ところで3.25はなんだろう?日付だろうか?と思ったが、つまり3年と四半期のことか。