A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

辻村深月「凍りのくじら」

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

タイトルからは想像しにくいがこれはSFである。ただしSukoshiFushigiのSF。
10章のそれぞれにドラえもんひみつ道具の名前がついている。と、いってもホントにひみつ道具が出てくるわけでもなく、のび太だって出てこない。

小説開始早々あちらこちらから人が出てきて「ああ、女性の話聞いてるみたいだなあ。」と思った。
でもキャラクターがみんな立っていて、ちゃんと重要なポジションについてる。最後まで脇役も活躍する。


ドラえもんって別に全巻持ってたわけでもないのに、なんで知ってる話多いんだろうか?
と、友人が話していた。
確かにそうだ。アニメとかじゃなくて原作をかなり知ってるんだ。全45巻もあるのにだよ。
ウチにも何冊かはあったけど、あとは友達の家とか病院の待合室とかで読んだのを覚えてるんだろうなあってことで落ち着いた。

そのウチにあった何冊かのドラえもん。小さい頃入院したとき、祖父がお見舞いにと買って来てくれたものだ。
あの時読んだ話がこの小説にもたくさん出てきた。「家がだんだん遠くなる」とか「天の川鉄道の夜」怖かったなぁ。
理帆子が病院にドラえもん届けるとこで思い出してしんみり。
懐中電灯に平仮名間違えて「りはこ」って名前書いてあるのとかね、自分も折りたたみいすに油性ペンで「よしひ子」って書いてたのとリンクしてね。
自分はまったく覚えてないんだけど姉の真似して漢字使いたかったんだろうね。
こういう思い出にチクチク来るのだよこの本は。

盛り上げ方がうまいなあ。クライマックスになるにつれ、冷めた女子高生だった理帆子が感情を露わにしていく辺りは泣きそうになって電車で何度か本を閉じたくらいだ。

お気に入り

p.42 人間は共通の文脈がない種族を恐れる。

p.301「いつも、持病のせいとか、親のせいとか、自分の力ではない他のせいにしてきた。だけど、悪いのは自分だと認めなくちゃ。全部を自分の責任だと認めて、その上で自分に実力がないんだと、そう思って諦めなくちゃならない。精一杯、本当にギリギリのところまでやった人にしか、諦めることなんてできない。挫折って、だから本当はすごく難しい。」

クジラ物

TwitterFail Whaleのせいかクジラ物の本が目につく気がするね。

クジラの彼 (角川文庫)

クジラの彼 (角川文庫)


ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)

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鯨の王 (文春文庫)

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