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A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

金子 邦彦「カオスの紡ぐ夢の中で」

学生のとき非線形物理周辺にいたので、金子さん(先生と呼ぶと怒られる)の名は知っていたし、まさにその当時にこの本が刊行されていた・・・のに!
のに、今さら読んだわ。
リアルタイムで読んでおけばよかったと後悔しつつも、当時読んでもピンと来てなかったのかもしれない。
私が大学4年になり研究室に入って真っ先に与えられた課題が、朝永 振一郎 物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書) を読むことだった。
受験のためや、単位を取るための勉強しかして来なかったものだからどう読んでよいのかわからなかった。
後でインタビューするからと言われ、読みながらマーカーで線を引いたりしてみたけど、まったく意味が無かった。
「ここら辺試験に出そう。聞かれそう。」という感覚だけで読んでおり、考えてなかったのである。まだ普通に読み物として読んでた方がマシだった。
学ぶということ、研究するということがどういうことかを知るとてもよい課題だったと今になって思う。
金子さんが大学院生だったときに同じ本を読んだというくだりが「バーチャル・インタビュー」に出てくるが、ちゃんと読んでいたなあ、すごいなあ。
研究成果を論文に書くのはまあ研究者の仕事ではあるので置いといて、こういう読み物を書ける人は尊敬する。
科学ジャーナリストとかサイエンスライターとかかっこいいなあと漠然と思っていた時代もあったのをちょっと思い出した。

何はともあれ、円城塔氏のおかげでこの本を手に取ることができた。
金子さんは彼の師匠であり、この本の「小説 進物史観」に登場する円城塔李久がそのルーツになっている。そしてこの新版は円城塔の解説付き。
彼のSelf Reference Engineは、物語の四大病症「虚実皮膜病」「ゲーデル病」「マトリョーシカ病」「寄生病」すべてに罹患してるなw
「小説 進物史観」で長編大作が絶滅して意味不明な短編が現れたのを見ると、最近流行のつぶやき系コミュニケーションの予言書にも見えて面白い。

おまけ

渋谷のBook 1stの円城氏直筆(?)ポップ。やる気あんのかw 隣の棚には伊藤計劃氏に宛てたポップもある。