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A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

R.A. ラファティ「つぎの岩につづく」

つぎの岩につづく (ハヤカワ文庫SF)

つぎの岩につづく (ハヤカワ文庫SF)

全体的に救われない話が多いのに、どこかコミカルな空気が漂う。後味の悪さを味わう短編集。
結末直前を冒頭で触れ、そこへつなげ、そのまま完結せずに終わる形式が多いからか。また、「どうせ言っても信じてもらえない」というシチュエーションも多いように感じる。そして、これをはっきりさせないまま終わる気持ち悪さがラファティっぽさか。
調査が進み謎が解けていってもスッキリせずに、逆に運命を悟っていく過程というのは何か恐ろしいものを感じることがある。

レインバード Rainbird.

民話風でテンポもよい”才能の無駄遣い”的なレインバードさんのお話。レインバードって役柄にもぴったりないい名前だ。日本では雨告鳥などと呼ばれる鳥で、その名の通り雨の前に鳴くと言われている。

蒸気綿摘み機の開発で南部の奴隷制度を破壊し、権力と富を手に入れた

皮肉がきいてて面白い。

クロコダイルとアリゲーターよ、クレム Camels and dromedaries, Clem.

ある日突然体が分裂しちゃった男の話。当たって砕けちゃいかん。

つぎの岩につづくContinued on next rock.

次々に発掘される石にはいつも「つづく」の絵文字。文庫の裏の煽り文句に期待しすぎた感あり。
思ったことが本当になるのか、未来がみえてるのかわからないが最近こんな話をどこかで・・・ああ「涼宮ハルヒの憂鬱」だ。

むかしアラネアで Once on Aranea.

蜘蛛の星の調査に降り立った男の話。蜘蛛といっても十二本脚のティーカップくらい大きいヤツで、でクチクチシュルシュルと音をたてる気持ち悪さ。

邪悪な力は、集団に対しては何もしなくても、個人に向かっては隠していた牙をむきだすかもしれない

という理屈で隊員ひとりを異星に置き去りにしちゃうってのがすごい。

テキサス州ソドムとゴモラ Sodom and Gomorrah, Texas.

まぬけに国勢調査させたら大変なことになる話。もしかしたら自然保護とか世界遺産とかで守られているところには小人さんが住んでいたりするのかもしれない。

金の()入りの目を持つ男 The man with the speckled eyes.

発明・発見を支配する六人衆が次々失踪。そこへ現れる青い瞳の中に金色の斑を持つ男。
六人のうち残り二人から始まって、最後の一人は語らないというショートショートらしいお話。

問答無量 All but the words.

異星人とのコンタクトを試みる研究者たちのお話。だがコミュニケーション苦手な内向的な人ばかり。そこへ普通のお話ができる女性が投入されたらトントン拍子で交信成功。
途中まですげー面白かったけど、ちょっとオチが弱いのが非常に残念。でもこの本の中では一番好きなお話。アルバート・トリアエズ。

超絶の虎 The transcendent tigers.

無邪気に世界が滅ぼされる!!無邪気だと?いや、ただのクソガキかもしれん。
ライオン、ガオーガオー、シカーガォー!(これはひどい)

豊穣世界 World abounding.

蜘蛛の星アラネアにも言及してる。世界がつながってるのだな。今回は早送りのような世界。すべてが人間にとって快適。
そしてまた穴掘ってる。「つぎの岩につづく」なんて書いてある石板は出て来ないけど。

夢 Dream.

胡蝶の夢的な。

ブリキ缶に乗って Ride a tin can.

相変わらず後味悪い。ゴブリンおいしいの?

アロイス Aloys.

高度に発達した科学はペテンとは見分けがつかない。ちょっとした叙述トリック。
十九項目の講演の要旨が無駄にカッコイイ。

完全無欠な貴橄欖石 Entire and perfect chrysolite.

アフリカ大陸を召喚しちゃうFinal Fantasy X的なお話(と理解したが)。

太古の殻にくるまれて Incased in ancient rind.

百年に一度の晩餐ってなんだかいいなぁ。豊穣世界とは逆にスロー再生な世界。

みにくい海 The ugly sea.

なんだか演歌な世界である。

断崖が笑った Cliffs that laughed.

話の内容はピンと来ないのだが、このお話の締め方は、本の最後にふさわしい。余韻を味わう間が必要だ。