A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

TAP

TAP (奇想コレクション)

TAP (奇想コレクション)


全体的に(イーガンにしては)読みやすい。奇想コレクションとして妥当なラインナップだと思う。

新・口笛テスト

音楽処理の神経経路を特定して数学モデルを作り上げたことにより、最強のメロディの生産が可能になった世界の話。
映画にはできないタイプの話だな。最強のメロディ作るの大変だから。同じ話を星新一風にしたのを読んでみたい。

視覚

幽体離脱しちゃってる人の話。
このセリフが好き

「まだあなたを観察下に置いておきたいのです。」
「それならわたしが自分でやれるよ。」

ユージーン

遺伝子操作で天才児を作っちゃうよ。って話。俺もギャンブルで大金当てて何不自由なくなると涅槃に至れるかもしれない。
ちぐはぐな部品 (角川文庫)の「神」を彷彿。
「新・口笛テスト」同様、胡散臭い会社と取引したらとんでもない結末になるっていう展開も星新一っぽい。

悪魔の移住

バイオテクノロジーが生み出したおちゃめなモンスターが語りかける話。アポトーシスできないから人間を呼びつける腫瘍・・・だめだ!罠だ!行っちゃだめだ!

散骨

切り裂きジャックもの。イーガンにしちゃめずらしくSF色なし。映画の「セブン」を見たときのようなイヤな感じ。

銀炎

奇病「銀炎」の感染経路を追う話。科学と信仰。ある意味サイバーを媒介したパンデミックってとこか。

自警団

犯罪対策で雇われた悪魔と少年との対決。ホラーもの。

要塞

遺伝子工学。民族問題。ちょっと消化不良な感じ。

森の奥

森の奥でのふたりの男の対話と、洞察力が備わるという神経インプラントの話。
テキトーに読んでたら最後「あれ?」ってなった。結局そのインプラントから放出されたナノマシンは何かを変えたんだろうか?

TAP

TAP(Total Affect Protocol):総合情動プロトコルと呼ばれる、これまた神経インプラントの話。
情動表現を圧縮してひとつの単語にしてくれるというTAP。そしてそれに絡む詩人の死。
テッド・チャンの「理解」(あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF))をちょっと思い出した。
ミック君がなかなかよい。

「VRでは人生のすべては語れないわ。」
「だよね。でも、TAPで人生のすべては語れるよね。」

無歪曲情動圧縮アルゴリズムでこの日記もひとつの単語にしたい。