A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?


以前触れた夢の科学 - A Perfect Night For Bananafishと同じ著者ホブソンによるもの。

多くの夢日記を残し、実験に協力した女性デリアと著者が担当した精神疾患の男性ベルタル、そして著者本人の体験を交えて考察し、夢と睡眠の役割についてさらに理解を深めることができる。
起きているときの正気と眠っているときの狂気。
夢は健常な精神疾患であるという。

自分が悩んでる「うつ」についても分析している。
うつ病患者が睡眠リズムにおいてみせる顕著な変化がふたつある。

  • 睡眠と覚醒の乱れ
  • レム睡眠のタイミング

深いノンレム睡眠状態に陥らないうえ、最初のレム睡眠が通常よりも早く起こり、長く続き、いっそう鮮烈なのだ。
レム睡眠はノルエピネフリンセロトニンによって抑制されているのだが、これらが不足してるんだよね。
だからSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)というでセロトニンを溜めおく作用を持つ抗うつ薬を飲んでいるのだ。

というわけで、調子が悪いときはレム睡眠の割合が高くなるので、夢を見る機会が多くなる。逆に調子がよくなると夢をあまり思い出せなくなるのだ。
ちょうど今年のはじめ辺りがそれにあたる。初夢が思い出せなかったんだよね。そしてかなり調子良かったのだ。驚くほど実体験と一致している。

また長眠者と短眠者についてなるほどと思ったのだが、
睡眠時間はだいたい2時間〜14時間で分布し、その真ん中の7.5時間が分布の中心の多数派というワケで、これくらいの睡眠時間が推奨されるんだな。睡眠が短くてすむ人と、長時間眠らないといけない人がいて当然なのだ。背の高い人と低い人がいるように。
ところが最近は誤った合理主義により、睡眠を削って頑張るなどの結果、生体リズムの狂いを生じ、逆に効率を落としていると思うんだ。個人レベルの裁量ではなく、社会全体で取り組む必要があると思うね。

これは夢についての本であると同時に夢と睡眠を足がかりにした心脳についての本だ。意識はどこから来るのか?情動はどこで生まれるのか?

少し専門的な用語は出てくるものの、数式や化学式なんかは一切出てこないので、科学読み物として良本だと思う。