A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

ムジカ・マキーナ

ムジカ・マキーナ (ハヤカワ文庫JA)

ムジカ・マキーナ (ハヤカワ文庫JA)

その機械は、天上の音楽を捕縛する

という帯に魅かれてだいぶ前に買った。最初の方でつまづいて、なかなか先に進めなかったんだけど、ようやく今日読み終えた。
第一楽章の後半から急に面白くなる。

謎の麻薬《魔笛》(ツァウベルフレーテ)と《音楽機械》(ムジカ・マキーナ)をめぐるスチーム・パンク的な音楽SF。エジソンにより録音技術が発明される以前のウィーン、ロンドンが舞台。シュトラウスやブルックナーナポレオン三世なども出てくる歴史改変モノでもある。

音楽哲学みたいなものがこの本には溢れている。第二楽章、テクノ/エスニック系DJのダニエルの言葉が印象深かった。

問題は音楽さ。しかし音楽は他の芸術とは違う。音楽には特殊な方法が必要なんだ。音楽は少しずつ解る。なんてことはない。音楽を<理解する>時は一瞬で無限の距離を移動する・・・・・・その時は、それまでまったく何も感じなかったどうでもいい音楽が、ある瞬間、突然に<解って>しまう・・・・・・そうだろう? 要は、その瞬間を増やすことだ。

中略

人は何故、音楽を音楽として認識する?どんな異質な音楽でも、まずい演奏でも、人がそれを<音楽>として認識できるのは、それに含まれている快楽/理想をわずかにでも感じ取っているからだ。そのわずかな感覚を可能な限り広げる・・・・・・ただそうすればいいだけのこと・・・・・・

音楽って音の並びや重ね合わせというものでいろんな感情が引き出される、手っ取り早い麻薬みたいなモンだ。それが今やいつでも電子的に変換された音楽を携帯しどこでも聞けるようになった。
そんなムジカ・マキーナを手にしても理想の音楽、音楽の理想を人は求めてやまない。不思議だなー。
高野史緒公式サイト Fumio Takano's website