A Perfect Night For Bananafish

だがそれを語るには人生は短すぎる

夢の科学

夢の科学―そのとき脳は何をしているのか? (ブルーバックス)

夢の科学―そのとき脳は何をしているのか? (ブルーバックス)

フロイトを棺桶に葬った男、アラン・ホブソン。現代夢科学の第一人者である。
夢の内容ではなく、夢の”形”に注目して、神経生理学的なアプローチでそのナゾを解き明かす。
夢のエピソードに意味を見出すのではなく、脳の状態や感情の状態といったものを現象としてとらえたのだな。

夢を見ているときって、そのおかしな状況に気づかないんだよね。突飛な設定でもありのまま受け入れている。論理性が欠如した失見当の状態。これはほとんど精神疾患のソレである。誰もが”起きているときの正気”と”夢を見ているときの狂気”でバランスをとっているのだという。

不調だったころを回想する「崩壊直前」の記事で書いた

「覚醒しているのにREM。疲れ目かなぁ。」

の理由が少しわかった。
そもそも「うつ」というのがセロトニンの不足により発生するといわれているのだが、本書によるとセロトニンには急速眼球運動の抑制作用があるとされている。当時まさにセロトニンが不足していたのだろう。

今はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)という種類の薬を服用しているが、これを長期間服用し続けるとRBD(レム睡眠行動障害)発生可能性が高くなるとそうだ。RBDは夢の中の行動が現実の動きに現れる障害(「夢中遊行」とは区別される)である。
今のところこのRBDは無い(と思う)が、ちょっと怖いなー。
また、うつ病患者の多くは、入眠後、最初のレム睡眠が健常者より早く出現し、しかも普通より長いのだという。大げさに言うとレム睡眠に入りやすい人はうつになりやすいと言うのだ。
自分について言うと、最近夢を見ているが思い出せないことが増えた。「夢日記」の更新頻度が少なくなっているでしょ?
そして最近気分の状態がよい。これは薬のおかげかもしれないが、睡眠周期が正常化されて快方へ向かっていると言えるだろう。よかったなぁ。

夢の研究は睡眠を研究することであり、それは脳を研究することである。本書は脳科学の話題も豊富で、バインディング問題、脳のハードプロブレム、クオリア、記憶や学習、免疫系などにも触れていて面白い。

起きているときでも夢を見ているときでも、常に「自己を自覚している自分を自覚」している。つまりそれを見ているのは自分だって気持ち。その「自覚の自覚」ってものの説明はもはや哲学みたいなもんだ。アランの言葉で言う「我夢見る、故に我在り」。